総合商社の投資会社化
総合商社の投資会社化

総合商社は「投資会社化」している。

均質な構造を持つ総合商社が複数登場し、総合商社業界が形成されたのは戦後のことである。

1960年前後には総合商社の「原型」が確立したが、その後各社はオイルショック、円高不況、バブル崩壊などの困難を乗り越えながら、新しい事業分野への進出とビジネスモデルの変革を進めてきた。同時に、リスク管理やガバナンスの体制を向上させ、その構造を大きく変化させた。この新しい構造は2000年代に入り、ほぼ定着した。総合商社は新・総合商社に生まれ変わったと言える。

しかし、そもそも総合商社はその「原型」からして、商品取引以外に、さまざまな収益の要素を持っており、それらを駆使して高収益を上げる経営体として知られていた。とりわけ、投資の機能が注目されていた。とはいえ、その投資はあくまで商権の獲得が目的だった。投資の結果、配当収入も得ることになるが、それは副次的なものであり、メインの収益は口銭(売買手数料)や売買差益などから得ていた。

だが、投資の目的が構造変化のなかで、投資収益(つまり配当収入)の獲得そのものに移りつつあることがクローズアップされてきた。

「今や、その目的は投資から上がる収益、あるいは事業売却や株式売却からの利益獲得に主眼が変化してきたとしばしば指摘される」「1980年代後半にすでにはじまっていた事業投資が、平成不況期に入って一挙に加速化した」(木山、2011)などの理解が一般的である。